行雲流水

 7月2日、宮古ペンクラブ、宮古毎日新聞社共催の第2回エッセー賞の表彰式ならびに祝賀会が盛大に行われた。今回のテーマは「いま、本当に大切なもの」、「いたわり―地球家族」、その他自由選題によるもので、生命の大切さや平和の尊さ、環境問題や家族愛等を題材に意欲的な作品が計35点寄せられた▼応募者も中学1年生から、97歳の方までの広がりをもち、社会の問題を真正面から取り上げたものや、中・高校生の前向きで積極的な生き方が共感を呼んだ。また、県外からの応募も九点に及び、時代を感じさせた▼松原清吉ペンクラブ会長は、挨拶で、共感・感動を呼ぶ作品を書くには主体性の確立と言葉の洗練が必要だと語った。また、下地康嗣審査委員は講評で、エッセーを日本庭園にたとえて、無造作にも見える簡潔さのなかに深さと奥行きを感じさせる、と述べた▼「エッセー」についてのイメージは様々である。語源的にはフランス語の「試みる」を意味すると言われる。その性格は、自由でしなやかな心で、「外部の事象が自己の内部に起こしたさまざまな反応を通して、それらの意味を追求する」ところにある。具体的には、柔軟な文体と構想を駆使して、言葉の力を信じて書く「試み」である▼世界は複雑で、激しく変化している。また、地域には地域特有の歴史や文化、自然があり、その中で多様な人生が営まれている▼個性の発露たるエッセーを通して、精神的に触れ合うことは素敵なことである。その広がりのためにこの事業は催された。

(2005/07/06掲載)

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