行雲流水

 21世紀は「水戦争の世紀」だと言われる。すでに、あちこちで水をめぐる紛争が起きている。中国の黄河の下流域1000キロの地帯では水がなくなり、問題になっている。上流域で農業用水として過剰に水が使われている結果である▼その1部は日本向けの野菜耕作用に大量に使われている。その広大な野菜畑は1面農薬で白く覆われていた、とは中国旅行から帰った友人の話である▼南の途上国では先進国へ輸出する農産物生産のために山林が切り開かれて、モノカルチャー(特定の作物のみを栽培)や効率至上主義で土地は劣化、激しい勢いで砂漠化が進んでいる。ハンバーガー1個分の牛肉を生産するのに破壊される自然を復原するのに要する費用は500万に達するという試算もある▼食料自給率が40パーセントと先進国でも異常に低い我国は、農産物を輸入することによって、間接的に途上国の膨大な水を消費している。水と土地を失って自給体制を破壊された現地の貧困化は深刻化を増すばかりである。産業としての農・畜産業と食の安全を守ると共に、結果的に他国の人々の生活を破壊しないためにも、食料の自給率を高めることが必要である▼そのためには制度的なこともあるが、農地の劣化を防ぎ、有機肥料で肥沃化を図ることも重要である。家畜排泄物法では堆肥舎の整備が義務化されたが、県では、堆肥舎を整備して環境保全を図り、資源(排泄物)を有効に活用するよう呼びかけている▼さらには、人糞尿の発酵等による肥料化を推進することが必要ではないか。

(2005/06/08掲載)

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