行雲流水

  何げなく耳に入ってくる曲の旋律や歌詞のことばが気になって、内容を詳しく知りたいと思うことがある▼倉本聡の「北の国から」のテーマ曲や「優しい時間」の主題歌「明日」は、それ自身が綺麗で、北の雪景色の美しさと相まって、深く印象に残る▼宮崎駿の「千と千尋の神隠し」の千尋は幾多の試練をのり越えて光を見出すが、主題歌「いつも何度でも」の曲は軽快さの中にも陰影があり、歌詞は人を引きつける。「繰り返す過ちのその度に、人はただ青い空の青さを知る」、「粉々に壊された鏡の上にも新しい景色が映される」▼「アメイジング・グレイス」が一般に知られるようになったのは1970年にフォーク歌手が歌ったのがきっかけになったが、歌詞ができたのは200年も前のことである。作詞のジョン・ニュートンは元奴隷商人から聖職者へ、そして晩年には奴隷制廃止論者へと姿を変えた人である。歌う。「至上の恵み/私ごとき愚か者を救って下さった/だが今は違う/私は盲目だった/だが今は見える」。重厚で優美、数奇な出自を持つこの曲は今、世界中の人々に愛されている。テレビドラマ「大地の子」や「白い巨塔」でも流れていた▼全国の多くの保育園では、お昼寝の時間に夏川りみの「童神」が流されているという。もう1つ。「おばあちゃん、おばあちゃんがパパを産んだんだって、有り難うね」。知的障害のある子が書いたこの詩に曲がつけられて歌われ、反響を呼んでいる▼いろいろな歌があり、それぞれに私たちの生活に彩りを添えている。

(2005/05/25掲載)

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