行雲流水

 大型連休を明日の「母の日」までとすると、「こどもの日」と「母の日」が同居するユニークな連休となった。「児童福祉週間」は子どもらの幸せを願うのは当然だが、子ども自らが母への感謝の心を培う週間にもしたいものだ▼ところで、学校は戦場、イジメに会ってクラスメートを殺そうと思った。リストカットは常習と言う少女。少年によるハンマー事件のように人の殺傷をゲーム感覚でとらえる▼一方子育てや生活の中に「祈りの心」が失われたとの指摘をあざ笑うかのように、神父は少女らを食い物にする。わが子への虐待もはびこる。なんともおぞましい病んだ社会ではないか▼文科省は「ゆとり教育」の中で「生きる力」「心の教育」を目指したのだが、国際的な学力テストなどで学力低下を突き付けられ右往左往する。分数を知らない大学生など学力の低下が問われたのは今に始まったことではない▼学力向上といえば、反復練習による独自のプログラム「百ます計算」などで全国的に知られる陰山英男氏(尾道市立土堂小学校長)は言う、「学力の根本は生命力にある」、その「生命力」は家庭の教育力が原点であると▼だが離婚やシングルマザーなど、いびつな家庭環境の増加、またインターネットや携帯電話など文明の利便性は、反面、易きに付く風潮を生み、かつ血の通った人間関係を阻んでいるようにさえ思える。「生きる力」の本質は「心の教育」に他ならない。そのことを忘れて小手先だけの学力を問うてはなるまい。

(2005/05/07掲載)

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