行雲流水

  樹木は同じ場所にいて、大気と、大地から汲み上げた水と、太陽の光を受けて悠然と生きている。インドの詩人タゴールはうたう「静かにわが心よ、これら大きな樹木たちは、祈りを捧げているのだ」。雑木林が浄化した大気を深呼吸しよう▼働く者の祭典メーデーには、今が冬の時代であることを正しく認識したい。「平和は、世界をより高度の文化のために役だたせようとする支配民族の勝利の剣によって樹立される」―世界に、20世紀最大の惨禍をもたらしたヒトラーの言葉である▼タゴールの詩はうたう「すべてのこどもは、神がまだ人間に絶望していないというメッセージをたずさえて生まれてくる」▼みどりとメーデーと平和とこどもは1つにつながった鎖。幼児には無償の愛を、青少年期には発達課題の確かな保障を、青・壮年には働く権利と喜びを、老年期には存在することの尊厳を、それぞれのステージで全う出来ることが皆の願いである▼連休の1こま、下地長生園の運動会。「花の好きな○○さん」、「笑顔が素敵な○○さん」。1人びとりの紹介で行事は始まった。平均89歳、心身の衰えはおおうべくもないが、車椅子に乗って懸命に頑張っていた。上野中から、全生徒の約半数の生徒がボランティアとして駆けつけた。外間顧問は生徒の積極性を称え、普天間校長は進む核家族化のもとでの教育的意義を強調し、亀川教頭は、行動によって心は育つ、と語っていた▼生徒は、老人の姿と、老人に親しく接する職員の態度から多くを学んだ、と語った。

(2005/05/04掲載)

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