行雲流水

 琉球大学入学式について県内大手の新聞は写真つきで大きく報じた。入学生は学部1,636名。大学院修士課程・博士課程・専攻科合わせて345名の計1,981名だった。その中には同大同窓会宮古支部が合格を祝福した6名の学部新入生もいた▼祝賀会は市内の某レストランで催されたが晴れやかな面持ちで横一列に座した6名の目は大願成就した安堵感からか澄みきっていた。母校の師と同窓会の先輩が述べた祝いの言葉や入学後の心得など一言も聞きもらすまいとその目はキラキラ輝いたりもした▼物欲はびこる世の風潮に染まって己を見失うことなく懸命に学業の辛苦に耐えて合格の誉れをつかんだ面々の表情は実に清々しく爽やかだった。巷間目にする同世代若者に乏しい充実感も限りなくみなぎっていた▼米国の社会学者マーチン・トロウ教授の分類によると大学進学率は15%までは「エリート型」、15〜50%は「マス型」、50%以上は「ユニバーサル型」になると言う。日本は49%で「マス型」に分類されている▼宮古の高校生の大学進学率は横ばいか下降線上にありきわめて芳しくない。宮古5高校在任教師の6、7割が島外出身者である現実は大学に合格する高校生の数が少なくその上教職員採用試験に受かる宮古関係者の減少ゆえである▼修学時代の学業未熟や知性形成の怠慢は当事者本人の将来設計にとって阻害要因となるばかりでなく地域社会を成長発展させる礎づくりにとっても大きな損失である。

(2005/04/15掲載)

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