行雲流水

 ポツダム宣言を受託して第二次世界大戦は終わったが、ポツダム宣言の第12条には次のことが明記されている。「日本国民の自由に表明せる意志に従ひ平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては連合国の占領軍は直に撤収せらるべし」▼しかし、沖縄では、米軍は撤収するどころか、いち早く恒久的な嘉手納飛行場をはじめ多くの基地をつくり、後々までの世界戦略上の拠点として国益に備えた。後に安保条約によって基地の提供がなされるが、日米の力関係の下では、それは「既得権益」の追認でしかあり得なかった。沖縄の基地問題の原点をここに見据える必要がある▼戦後60年、今なお続く沖縄の基地重圧は異常である。街のど真ん中にあって住民の日常生活を脅かしている普天間飛行場は返還されるべきだし、さらなる、基地負担を沖縄に押しつけるべきではない▼しかし、普天間飛行場の辺野古沖移設計画がもちあがり、今度は、その見直しを米側は示唆してきた。代りに「下地島空港が狙われている」、最近の日米の動きはそのことを危惧させる。また、米軍に代って新たに自衛隊を県内に配備しようとする案があるが、知事が語るように、それは負担軽減にならない▼このような時に、伊良部町議会が自衛隊誘致を決議したことは、宮古圏域住民のみならず、一貫して基地の整理縮小を求めてきた県民に大きな衝撃を与えている▼圏域の自然や文化、平和を守り、禍根を末代に残すことがないよう、結束を固め、行動することが強く求められている。

(2005/03/23掲載)

top.gif (811 バイト)