宮古の量販店やレストランや空港売店でもそうだった。例えば700円の品代に対して1000円札を差し出すと若年会計係のほとんどは「1000円からお預かりします」と言う。1000円お預かりしますではなく1000円からと「から」をつける。1万円札だと「1万円から…」となる▼食べられるではなく「食べれる」や投げられるではなく「投げれる」など『ら抜き』言葉もあふれている。いずれも若年世代間ではすでに定着している言い方のようだが公的には誤った使い方「誤用」と指摘されている▼言葉の誤用は諸活動が活発な大都市で発生しその多くはマスメディアにのって各地に広がっていくと言う。メディアに登場する人気タレントたちが頻繁に口にすることで中央志向の強い若年世代はただちに感化され同調すると言うのである▼その結果中央（？）と一体化したような錯覚に陥り何の気掛かりもなく自らも「1000円から…」「食べれる」などの使い手になる。確かにメディアの介在なくして全国各地で言葉の同一誤用が自然発生的に起きるはずはない▼それでも事が言葉づかいの正誤にとどまるものであれば対応は学校教育の指導領域で可能である。しかし殊に映像メディアが日常的に展開する番組内容が若年世代の思考に与える影響力に対しては容易に太刀打ちできるものではない▼頻発する若年世代の問題行動や異常行動。その残酷さを思う時四六時国民生活を虜にしている映像メディアの現実については更なる国民的論議が要求されなければならない。

（2005/03/04掲載）