行雲流水

 今年2005年は、国連が決めた「スポーツと体育の国際年」である。国連は、教育や健康、平和の促進のためにスポーツを活用するよう呼びかけている。相手を尊重、ルールに則(のっと)って公正に、ベストを尽くす、いわゆるスポーツマンシップを鍛えることは、青少年の全人教育に大きな役割を果たす▼スポーツはまた、健康で快適な日常生活を過ごす上で重要である。たとえばヨーロッパ連合が「みんなのスポーツ憲章」で「すべての個人は、スポーツを行う権利を持つ」とスポーツの人権宣言を行っているのもそのためである。それは、スポーツを行う権利であって、基本的には「見る」ことで代替できるものではない▼その点で、当地では、関係者の献身的な努力によって、職域野球に100チームも参加する。テニスやバドミントンも盛んである。多くの人がジョギングやウオーキング、グラウンドゴルフ等で生活を潤いあるものにしている。学校や地域社会の努力で青少年のスポーツも盛んであり、喜ばしい▼しかし、今日、勝利主義と商業主義がスポーツを歪めている。発達段階を無視した過度な訓練で、ひざを痛める生徒は多い。また命令に忠実なだけの人格形成や選手以外の生徒をスポーツから疎外する危険性もある。あくまでも教育の一環としてのスポーツでありたい▼ドーピングや不正審判、商業主義と政治の代理戦争化の問題もある。あくまでも、人間の尊厳や連帯を助長するものでありたい▼「スポーツと体育の国際年」である。その望ましい姿を考える契機にしたい。

(2005/03/02掲載)

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