行雲流水

 白紙の状態から人口5万人の自治体をつくるとすると、どんな理想像を描くことが出来るだろうか。現実にはいろいろなしがらみがあるが、描いた理想像すなわち未来からの視点で合併問題に当たることが重要ではないか▼当然のことながら住民の関心は非常に高い。「議員の在任特例なし」の決定で、市長選との同時選挙の見通しになったが、これは世論の強い要求によるものとみていい▼新市の名称は市を象徴する顔だから、これに対する関心も高い。新聞投稿による多様な意見が多く出されているし、シンポジウムも開かれた。最終的にはいずれに落ち着くにせよ、決定までの手法について柔軟に対応することが合併推進協議会には求められる▼新市の組織・機構についての分庁方式についても、行政の効率と住民へのサービスの観点から疑問が残る。統一された未来の市政から見ると「蝸牛角上(かぎゅうかくじょう)の争い」もあったと聞く▼新市のスタートに当たっては財政の健全化が重要な課題となる。ただでさえ、いわゆる三位一体改革による地方交付税の減額で自治体の財政は逼迫している。そのうえ、各市町村の地域エゴが健全化の足かせになってはならない。合併によっても特別交付金が得られるのではなく起債の条件が緩和されるに過ぎない。すなわち借金がし易くなるだけの話である。公共工事等の前倒し執行による合併後の不況を心配する声も聞こえてくる▼当該住民が等しく新市民となる。その市民としての未来からの視点で、新市を主体的に築いていく意識こそが求められている。

(2005/02/16掲載)

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