行雲流水

 昨年4月15日。多良間村は宮古地区6市町村合併協議会で正式に合併離脱を表明した。8月には下地町も自立の道を選択することになり合併協議会不参加を表明。そして9月。上野村も同協議会不参加を決定した▼かくて同協議会の枠組みは一時は平良市・城辺町・伊良部町のみとなったが下地町・上野村が再び参加。結局5市町村合併協議会が設置されて来る10月1日の合併期日を迎えることになった▼内外に二転三転の迷走を露呈したと評する者もいるが青天の霹靂(へきれき)にもひとしい国の『平成大合併』の旗振り。財政不安のみを募らせて合併後の活力ある将来像を描ききれない行政。困惑し迷走しているのは全国いずこの地方自治体も同様である▼殊に先祖伝来受け継いできた「故郷」の枠組みが崩壊し見渡しがたい玉石混交(ぎょくせきこんこう)の居住域になってしまうことに対して住民が不安を抱くのは人の情。合併賛否の狭間(はざま)で苦悩するのも至極当然のことである▼このような住民の不安や苦悩そして自治体の財政難には目もくれず合併後もそのままの身分であり続けようともくろんだ議員諸氏のいわゆる「在任特例」適用の強弁は住民から集中批判を浴びて消え失せた。新市議会議員数も28に決定▼ところで合併論議の中顕著になったことがある。忌憚(きたん)のない住民の反応である。議員の言行すなわち『資質』に対して住民は鋭い視点や厳しい認識を示した。地位に安住して無為なる者。地位を誇示し住民の声を無視する者。合併は真の「選良」選びでもある。

(2005/02/04掲載)

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