行雲流水

 スマトラ島沖地震と津波で甚大な被害を受けたインド洋沿岸諸国への、国連主導の緊急救援活動が本格化した。また、警報情報の無いことが災害を大きくしたこともあって、この地域に津波警報システムを構築することで各国が合意した▼しかし、世界保健機構(WHO)は衛生状態の悪化から感染症発生の危険性を警告し、ユニセフ(国連児童基金)は災害孤児が売買される危険性を憂慮している。また、極限の恐怖体験で、PTSD(心的外傷ストレス障害)に陥る多くの人への心のケアが必要となる。いずれも、長期にわたる国際的な支援の必要性を示している▼この未曽有の災害に対して各国政府やNGO(非政府組織)は、迅速な救援活動を展開した。世界の各地で一般市民も立ちあがった。しかし、外国軍隊への警戒から滞在を3カ月に限定する被災国もあり、米軍の下地島空港使用についても、明らかに将来に向けた地ならしだと言い切る軍事ジャーナリストもいて、目が離せない▼専門家によれば、琉球弧は地震活動の活発な地域である。1771年に八重山と宮古を襲った明和の大津波の際、石垣島では、津波の高さは85米に達し、約9000人が死亡している。宮古でも、海岸沿いの「元島」を中心に2500人余の死者をだす災害を受けている▼ところで、国際防災会議は、無計画な都市化や環境の悪化、気候変動などで災害の脅威は増大するとみている▼「災害は忘れた頃にやってくる」と言われる。国際社会とそれぞれの国や地域社会に課された課題は重い。

(2005/01/19掲載)

top.gif (811 バイト)