行雲流水

 今年を象徴する漢字として選ばれたのは「災」であった。度重なる台風災害があり、新潟中越地震による災害があって、自然災害の恐ろしさをあらためて知らされた▼被災地には、全国から救援の手が差しのべられ、ボランティアの輪が広がった。平凡なことだが、衣食住に不安のないことの尊さを実感させることでもあった。それはまた、誰もが安心して生活できる社会を築くことこそが国や社会にとっての最大課題であることを示すものであった▼ところで、この1年は国民の生活不安が大きく脹らんだ年であった。雇用環境の悪化は若者から夢を奪っている。進む社会保障水準の低下と負担増は生活を不安なものにしている▼あらゆる面で、弱肉強食による格差が拡大、二極化がすすんでいる。いわゆる三位一体の改革によって都市部と地方の格差は広がり、地方の自治と文化は危機に瀕している▼先進国の飽食のために途上国の飢餓と自然破壊が進んでいる。また、軍事超大国の一国行動主義は世界を更にいびつなものにしている。孤立化を深める米国の世界戦略に組み込まれる日本、その中で沖縄の基地負担は軽減されることがない▼こうした厳しい現実の中で、当圏域では2つの問題がもち上がった。下地島空港の軍事利用と市町村合併の問題である。軍事利用反対の郡民の意志は明確にされたが、合併に伴う現議員の身分の取り扱いについては混乱が続いている。大局的な立場に立った、良識ある決着が待たれる。それは、期待というよりむしろ、有権者の要求と言える。

(2004/12/29掲載)

top.gif (811 バイト)