行雲流水

 那覇空港の到着ロビーを出ると足はひとりでにタクシー乗り場へと向かった。長年の慣れか何のためらいもなかった。そして乗車。行き先を告げしばらく進行して上を見やった時しまったと思った。モノレールが走っている▼到着するとそのままモノレール空港駅に直行するはずだった。機内ではそう決めていた。しかしロビーに出ると体は反射的にタクシーに向かっていた。「パブロフの犬」と化したのはこれで 2度目である▼沖縄の陸上交通で公共交通機関の大役を担ってきたバスは自家用車の急速な普及に対抗できずに衰退。利便性をもたらすはずであった自家用車も台数の飛躍的な増加によって渋滞など交通混雑を助長▼これら深刻な沖縄の交通事情を改善するため沖縄都市モノレールは平成 8年運輸事業特許を取得。同年起工した。そして7年余の歳月をかけて平成15年8月10日開業。定時・定速性による乗客の効率的移動を運行の根幹と位置づけるモノレール▼地上の車が足止めされるような信号待ちや渋滞もなく始発空港駅から終点首里駅までの 12・9キロを27分で走る。宮古からの乗客の場合利用度が高いパレットくもじ隣接の「県庁前駅」までだと14分。運賃わずか2300円である▼車窓からの眺望もいい。白亜の「とよみ大橋」緑豊かな「奧武山公園」ゆったり流れる「国場川」など清々しい。高校生の登下校時利用も増してきたようだが最も恩恵に浴しているのは宮古八重山など離島航路利用の私たちだと実感した。

(2004/12/03掲載)

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