行雲流水

 耳の聴力に関する実験の1コマ。1例―パチンコ好きの被験者に目隠しして人の気配を感じさせないよう1歩1歩静かに近づきながらストップウォッチの秒針の音を聴かせる。音を感知した被験者はさっと手を上げて知らせる。距離2・32メートル▼次に騒音激しい工場並みの音量の店内で2時間パチンコに興じさせた後前回と同じ要領で目隠ししてストップウォッチを手に歩み寄る。被験者が音を感知した距離は92センチ▼2例―大学応援団の1人に前者同様の実験を実施。応援練習に入る前の感知距離は2・91メートル。ブラスバンドの演奏を伴った練習後の感知距離は91センチ。実験はいずれも聴力低下は環境の騒音によって「耳が疲れた」からだと結論づけた▼別の研究では耳の疲れた状態が恒常化すると聴覚感度は20−50歳で4分の1に低下。20−30歳でも3分の1に低下すると指摘されている。音声は空気中を伝わる振動として耳にとどき鼓膜をふるわせて内耳の中の蝸牛管に伝えられる▼蝸牛管の中には150万本の有毛細胞が並んでいて伝わる音によって揺れる部分が異なる。低音では全体が揺れ高音の場合は鼓膜に近い部分だけが揺れる。揺れが悪いと『難聴』揺れ方に誤作動が起きると『耳鳴り』となる▼ 1日の大半を騒音の中で過ごすと耳の疲れはさらに蓄積し毛が倒れたり抜けたりしてやがては聴覚障害に発展すると専門医は警告。肩こり・頭痛など耳とは関係ないような症状でも耳の疲れが原因は多々あると言う。

(2004/11/19掲載)

top.gif (811 バイト)