行雲流水

  郷土出身の若い人たちの活躍は無条件に嬉しい。「ちゅらさん」こと国仲涼子、ゴルフ界の宮里藍、「涙そうそう」の歌姫・夏川りみ。そして、知念かおりは囲碁界のちゅらさんである。いずれも、それぞれの分野で一流であるばかりでなく、人柄の良さで多くのファンを引きつけている▼囲碁の第23期女流本因坊戦五番勝負の第4局が2日行われ、知念かおり3段は激戦の末小林泉美本因坊を下して、5年ぶりに見事女流本因坊に返り咲いた。これで、獲得タイトルは女流本因坊4、女流棋聖4の計8つの偉業を達成したことになる▼当日、こすみ囲碁教室には、父親の正夫さん、同教室主宰の池間さん、後援会長の真喜屋さん、それに多くの囲碁仲間が集って、インターネットの中継を見守った。最終盤の激戦で知念がせり勝つと、瞬間こすみ教室は拍手と歓声に包まれた▼実は、家で結果を待つ母親の良子さんへは、かおりさんの夫の楊嘉源さんから「負けているようだ」との、途中経過の電話があった。しかし、その時そのことは誰にも言えないでいたという。だから、「勝利」の電話が入った時の感激はひとしおで、「よく頑張った」と娘の健闘に涙している▼それにしても、囲碁の深さは計り知れない。明晰な思考と持続する集中力、支える美意識によって展開される世界の魅力は尽きることがない。近年、国際交流も盛んで、日中の大会でも日本代表のかおりさんは優勝、文化交流に大きく貢献している▼女流本因坊知念かおりの前途は洋々として、輝いている。

(2004/11/10掲載)

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