行雲流水

 三位一体で国の財政支援は激減。地方の自治体は存亡のはざまで軒並み苦悩している。そんな中政府は全国一律の国の規制にメスを入れることになる「構造特区」策を打ち出し地域経済の活性化支援に乗り出した▼規制改革で地方公共団体や民間事業者の自発的な立案を促し地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定区域(構造改革特別区域)を設ける。「構造特区」の目的について政府は概略このように説明している▼そして特定地域の「成功事例」を示すことで地域の特性は顕在化し地域独自の知恵と工夫が生み出す特性に応じた産業の集積や新規産業創出は可能となり地域の経済は活性化するという論法である▼しかし総論賛成各論反対で今なお中央省庁の規制と権限の譲歩は遅々として進んでいない。したがって地方は省庁官僚を論破しうる破天荒な発想と行動力を併せもった人材の育成なくしては生き残れそうにない▼過日『NHKスペシャル』が紹介した埼玉県草加市の特区担当特命理事のすさまじい挑戦はそのことを如実に物語っていた。老朽化した小学校の改築。市の財政は火の車。『破天荒』特命理事が国に突きつけたのは校舎の天井高3メートル以上の規制▼2・7メートルに下げればコスト減で最大8000万円の節減となるが特区申請に対し関係省庁はにべもなく拒絶。それでも草加市は一歩も引かない。大学研究室や海外の教育機関から収集した資料等も駆使して「3メートル以上」の根拠を論破。関係省庁から規制再検討の譲歩回答を得ている。

(2004/11/05掲載)

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