行雲流水

 日本列島各地に大きな災害をもたらしたいくつもの台風・豪雨、そして、今度は新潟県中越地震である。6000戸を超える家屋が倒壊、今なお数万の人々が避難所生活を余儀なくされている。道路が寸断されて孤立した集落で電気、水道、ガスがストップ、余震におののく生活の悲惨さは想像をこえるものだろう▼次第に復旧が進められてはいるが、4割が危険家屋と診断されている集落もある。これからやってくる豪雪の季節に不安は増すばかりだろう。さらに、共属感情で結ばれていたコミュニティーの崩壊も危惧されている。個人の財産は個人でというのが社会的な原則であるが、この際は、特に手厚い公的支援が求められよう▼被災地には、全国からいち早く救援金や物資が送られた。また、地域住民と多くのボランティアは復旧工事や医療活動、炊出しや片づけ等に懸命に当たった。教え子の無事を確認、激励してまわる教師の姿もあった▼命がけで行われた皆川優太(2)ちゃん救出の成功は国民に大きな感動を与えた。人命の尊さと、そのために献身的に努力する人間の美しさ、人は共に生きて在るものであることを印象づけた▼私たちは、戦後の食糧難の時代に、宮古島台風や台風14号の時に、各地の人々から温かい救援を受けた。この際、私たちも救援に立ちあがろう▼元気を回復した優太ちゃんは、「アンパンマンが大好き」とお気に入りのマンガのキャラクターの名を口にしたという。アンパンマンは、1つのパンでも分け合う心優しいキャラクターである。

(2004/11/03掲載)

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