行雲流水

 毎年10月16日は世界食糧デーである。世界で1日に2万5000人が餓死しているという悲惨な現実の中で「世界の人々に広く食糧問題の重要性を知ってもらい、飢餓、栄養不足、貧困を克服するために国際的な協力を一層推進しよう」と国連が制定した日である▼当地でも13日、世界食糧デー宮古大会が開催され、日本国際飢餓対策機構エチオピア駐在スタッフの竹内緑さんが現地報告・講演を行った▼氏は、今日の食べ物がない、着る物がない、住む家もない子供たち、エイズにおののき、偏見と差別のうちで生きている子供たちを紹介、子供たちが学校へ行けるよう支援したいと語った。また、こうした状況の中でも、他者を思いやる美しい心を失わない人々の姿を紹介した。「人間の尊厳をまっとうする為にあらゆることをしなければなるまい」という言葉で話を結んだ▼現在、発展途上国に広がる食糧危機の最大の原因は先進国の経済拡大や大量消費そのものにある。農業の単作(モノカルチャー)化をすすめて土地を荒廃させると同時に、住民の食料を生産する土地を奪っている▼機構の神田英輔総主事は、コンクリートのようになった土地にブルを入れ、牛を貸し与えて繁殖させて土地を再生させ、5年で自給自足の自立を達成させた事例を報告した▼氏は語る「1粒の米を植えると1400粒の米が取れる。翌年はその1粒1粒からさらに1400粒の米が取れる。だから1粒の中の米は数えることができない。人の価値も行いも同じ。1粒の中に夢をみようではないか」。

(2004/10/20掲載)

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