行雲流水

 近鉄・オリックスの合併問題に端を発したプロ球界は経営体質の古さや脆弱さを露呈した。「たかが選手」のスト突入で、来年度からの新規参入を勝ち取ったし、選手とファンあってのプロ野球であることを印象づけたことは何よりの成果である▼しかし日本のプロ野球はテレビ視聴率低下に象徴されるように陰りが見える。今や大リーグの方が何倍も面白く、イチローや松井秀喜のようなファンを引きつける魅力ある選手が日本のプロ球界にはいない▼セ・パ両リーグ運営や球団経営、選手の育成、ファン層の拡大などまさに三位一体の改革を推進せねばなるまい。イチローや松井が生まれ育った国なのだから両者に劣らぬ選手が育つ素地はあろう▼ところでこれは全くの私見だが、今年から始まったパのプレーオフ制は、大リーグのそれと違い、レギュラーシリーズ1・2・3位で第1、第2ステージを戦う方法に疑問を持つ。従来の方法がスッキリしていてよい。場あたり的な改革はいずれ興味を失うように思う▼話が飛ぶが、国から地方への補助金、地方交付税、税源移譲の3種の改革を同時に進めると言うのが小泉総理の三位一体の改革である▼沖縄タイムス紙の県内全首長49人のアンケートによると、その狙いは良しとするも、39首長は「数年で財政再建団体に転落もあり得る」と回答している。地方の独自性を育てようとの狙いが、破綻に追い込むようでは改革の意味がないし、相応の具体策が望まれる。

(2004/10/15掲載)

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