行雲流水

  ついにやった!。イチロー選手が、10月1日(日本時間2日)、シスラー選手の持つ大リーグの年間安打記録の257本に追いつき、追い抜き、84年ぶりに新記録を樹立した。この偉業達成の瞬間、試合は中断、イチローは選手仲間にとり囲まれて熱烈な祝福をうけ、観衆は起立して盛大に拍手、球場は興奮の渦に包まれた。またテレビで観戦したファンを熱狂させた▼注目され、残り試合が次第に減っていく重圧のなかで、記録達成までの安打数を着実に増やし、あと1本が期待される試合では、第1、第2打席で連続ヒット、さりげなく記録に追いつき、追い越したのだった▼技術もさることながら、その精神力が凄い。努力の積み重ねによる自信からくるものだろう。「自分を信じて、合理的に効率よく練習をこなし、自慢も謙遜もしない、淡々と、しかも努力することは当然のことと受けとめて我が道を歩き続けることがイチローの美学だ」とは高校時代の中村監督の言である▼何ごとに於いても向上することこそが喜びである青少年に、この快挙は夢を与えるに違いない。また、世の親は子育てのヒントを受けるかも知れない▼イチローは父親について語る「何事も口で言わないで、行動で示してくれた。絶対に信用できる父親です」、「父が大切にしたことは自然体です。嫌いなことは、指導者が枠にはめて、無理やりに形を教えることだった」。イチローは自らの打法を守り、進化させてきた▼自分で切りひらく気概と、目標を持って努力することの大切さ。

(2004/10/06掲載)

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