行雲流水

 下地島空港の軍事利用が取りざたされている。しかも、今回の場合、その悪夢は現実味を帯びており、当圏域住民に大きな衝撃を与えている▼報道によると、米政府が在日米軍の再編に絡み、米軍嘉手納基地を自衛隊と共同使用し、下地島空港を米軍と自衛隊の補助的機能として活用する具体案を日本政府に提示しているというものである。しかも、米政府の再編案に呼応するかのように防衛庁は、「防衛力の在り方検討会議」の結論で、下地島空港への戦闘機の移駐を明記している▼戦後59年、今なお在日米軍基地の75%が狭い沖縄に置かれている。しかも、普天間基地問題に見られるように、米軍の治外法権がまかり通る占領状態そのものである。米軍の再編の動きを機に、県民の基地の整理縮小の長年の要求を真剣に受け止め、政府は米国と交渉すべきである▼先日、国連のアナン事務総長は、米国主導のイラク攻撃は国連憲章に反する違法行為だったとの考えを明確にしたうえで、イラク型の作戦が今後実行されないよう望む、とクギを刺した。再編によって米軍と自衛隊の一体化が進めば、世界の人々の緊張緩和を願う方向と逆行、また、専守防衛の国是も崩れていくのではないか▼下地島空港が軍事基地化するとき、宮古圏域全体が魅力のない基地の島になり下がってしまう。平穏な生活環境は破壊され、自然や文化が損なわれることは明らかである▼将来に禍根を残すことのないよう、圏域住民が結束、県や国に強く働きかけ、この暴挙を阻止しなければならない。

(2004/09/22掲載)

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