行雲流水

 孫はわが子よりもかわいいという。孫と接する時のおじい、おばあのほころんだ顔はそのすべてをもの語っている▼今年も敬老会のシーズンを迎えた。各市町村では盛大に祝いの席が設けられ、また、各部落でも長寿を祝う敬老会が盛んに行われる。その敬老会のテーブルに並ぶのが料理が詰められた「折り」。食事をしながらにぎやかなひとときを過ごしてもらおうとほとんどの会場で用意されるが、手を付けるお年寄りはごくわずか。備え付けのビニールで丁寧に包み、記念品とともに持ち帰る人が多い。聞くと「家に持って帰って孫たちにあげる」という。自分自身の祝いの場でも孫を思う気持ちが消えることはない▼今のように食べ物が豊富になかった時代を生き抜いた人々は、知恵を生かしその日その日を送ってきた。イモや野草、野菜などで腹を満たし飢えをしのいできた。そうした質素な食生活と農漁業などで体を動かしたことが、今のお年寄りたちの健康な体をつくっている▼今の時代は食べ物も豊富にあり、食生活は大きく変化してきた。食生活は人間の健康維持に重要なかかわりを持つ。生活習慣病の年齢層は若年化している。お年寄りたちのほうがよっぽど健康な体と心を持っている▼宮古管内の高齢化率は 21・55%。今でこそ元気なお年寄りが多いが、これから先高齢化が進む中で、こうした元気なお年寄りは果たしてどれくらいいるのだろうか▼今あるお年寄りたちの姿から学ぶべきものに気付き実践することが、老を敬うことにつながるのではないだろうか。いま一度、自分自身の生活を見直す必要がある。孫たちが、同じような元気なお年寄りになるためにも。

(2004/09/19掲載)

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