行雲流水

 日本の金メダルラッシュで湧くアテネオリンピックももうすぐ閉会式を迎える。国を代表してオリンピックに「参加」した日本人選手が活躍して金メダルを量産してくれると応援する側はうれしくも誇らしくもある▼宮古地区の市町村合併が2年以上の協議を経て暗礁に乗り上げ、沈没寸前の様相だ。多良間村の離脱後、枠組みなどをめぐって協議が先に進まない。その要因としては垣間見られる一部議員の「総論賛成各論反対」の意思。合併について明確な意志が示せずだだらだらと合併協議に参加し、協議を先延ばしにしてきたその人たちにはその責任の重さを感じてもらいたい▼近代五輪の父といわれたピエール・ド・クーベルタンが語ったとされるオリンピック精神「オリンピックは参加することに意義がある」。この言葉は「弱くても負けてもただ参加するだけで良い」ではない。結果論ではなく目標のために努力し全力で戦う姿勢を求めている▼2年間の合併協議で宮古の現状は自治体のエゴとそれによる確執だけが生まれ、掲げられた「宮古は1つ」の理念は薄れつつある。最近の合併協議は首長中心で進められ「合併ありき」の観が強い。新市に「参加」することに意義があるかのごとくだ▼オリンピック参加に至るまでの選手の努力は並大抵の物ではない。新しい市を発足させることも多大な労力と努力を伴う。それ無しにただ「参加」するだけの合併ならばしても意味はない▼われわれの代表者たちには、まず合併する、しないにかかわらず、地域の明るい未来に向けた誠心誠意の努力を求めたい。

(2004/08/29掲載)

top.gif (811 バイト)