行雲流水

 「戦争をして勝ったら得をする」という事がまかり通るようでは、いつまでも戦争はなくならない▼ポツダム宣言を受たくして第二次世界大戦は終わったが、ポツダム宣言の第12条には次のようなことが明記されている。「日本国民の自由に表明せる意志に従ひ平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては連合国の占領軍は直に撤収せらるべし」▼しかし、沖縄では、米軍は撤収するどころか、いち早く恒久的な嘉手納飛行場をはじめ多くの基地をつくり、後々までの世界戦略上の拠点として国益に備えた。後に安保条約によって基地の提供がなされるが、日米の力関係の下では、それは「既得権益」の追認でしかあり得なかった。沖縄の基地問題の原点をここに見据える必要がある▼戦後59年、沖縄における基地の重圧は異常であり、米軍基地の整理縮小を沖縄は訴え続けてきた。少なくとも、街のど真ん中にあって住民の日常生活を脅かしている普天間飛行場の早期無条件返還の重要性を今度のヘリコプターの沖国大への墜落、炎上事故は示している。また、地位協定の改定の必要性も一層明らかになった▼ところで、普天間飛行場には約2000人の軍用地主がおり、年間47億円の借地料を受け取っているという。地主や地域の利害を調整しながら、返還後の跡地利用の具体的計画の策定が急がれる▼辺野古での新たな基地建設、米陸軍都市型訓練施設の建設などの基地重圧の増加は基地を持つ社会の矛盾を一層深刻なものにする。どこまで続くぬかるみぞ!

(2004/08/18掲載)

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