行雲流水

 第16回「天女の水まつり2004」が賑わった。天女は宮古の民話の中で、水を探しだす能力、水を守る神として登場してくる。だから、「天女の水まつり」である。会場では、子供たちが、水に親しみ、遊び、体験学習に挑戦していた。会場にはまた、地下水保全を考えるための写真やパネルが展示されていた▼この島は、表面が水を透し易い石灰岩でおおわれ、その下に水を透しにくい島尻泥岩層があって水がよく貯まる。そのために、豊かな地下水に恵まれている▼しかし、一時、地下水の硝酸性窒素濃度が高くなったり、干魃によって水源の湧水量が減少したことがある。硝酸性窒素は、生活排水や農業で使われる化学肥料や農薬、畜産で生ずる汚水等が地下に浸透、地下水を汚染したことによるものである▼例えば、効果的で無駄のない施肥の方法の啓蒙・普及で、窒素分の地下への浸透を少なくすることが重要である。また、宮古農林高校の開発した有機肥料(バイオ・リン)の大量生産と活用も有効であろう。上水道企業団による水源涵養林の造成事業が高く評価されている▼一方で、岡徹氏が講話で指摘した大野山林の荒廃、生態系の破壊がある。「宮古の水を考える会」の展示写真に見られるコーラル採掘跡や赤土採取跡等の廃棄物による環境汚染がある。じわり、じわりと地下にも汚染がしみ込んでくるのだろうか▼キーワードは人間と自然の共生である。だから、小学生がつくった今年の標語が素晴らしい。「水だって きれいでいたい これからも」。

(2004/08/04掲載)

top.gif (811 バイト)