行雲流水

 無人島での原始生活体験の話がある。薪を拾い火を起こし、水を汲み、調理を行い、小・中・高校生らが数名でグループをつくり共同生活をする。現代文明の利器から隔絶した極限の生活体験である。最初は戸惑っていた子どもたちもお互いに協力し合うこと、苦しさに耐えることから、心の通ったお互いの絆を確かめて行く▼夏休みは、規則正しく、計画的に過ごすのが定説であるが、自由な時間と空間を効果的に活用することであり、思い切った体験等を試みるチャンスでもある▼旅行は経済的な制約もあるが、国内外の歴史探訪をヒッチハイクなどで行うのもよく、スポーツなどの合宿も利便性を優先し、恵まれた施設や外食に頼らず、自分たちで調理し、共同生活を行ってみてはどうか、それが逆に金が掛かったりもするが、強固なチームワークをつくる要素になろう▼以前は生活の仕組みそのものが、苦労を共にし、心が触れ合うなかで、忍耐力や協調性が培われたが、現代は進んで求めなければならなくなった▼読書なども、中・高校生ならば、夏目漱石などの古典を完全読破するとか、不眠不休で何日読書が続けられるか挑戦してみるのもよい。筆者もそうした経験があり、自身の体力や能力の限界を知ることが出来た▼子どもらの発達段階を考慮せねばならないが、学校のカリキュラムでは出来ないことが夏休みには可能であるということであり、「感動」こそが最大の「心の教育」、子らの「成長」であることを訴えたい。

(2004/07/23掲載)

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