行雲流水

 新聞を開けば毎日のように「合併」の文字が見出しに躍る。先日は大手銀行の三菱東京フィナンシャルグループとUFJホールディングスとの合併が発表された。実現すると世界最大の「メガバンク」が誕生する▼プロ野球界では、オリックスと大阪近鉄の球団合併が発表され、日本中に衝撃が走った。西武を軸にしたもう1組の合併話や「1リーグ制」の議論が浮上するなど、混迷を深めている▼選手会は、球団合併は性急すぎるとして、その1年間の凍結と、経営者、選手、ファンの三者で球界の未来を徹底的に議論すべきだと主張する。実際にプレーする選手とそれを楽しみにするファンがないがしろにされ、経営者の論理のみが先行する状況に一石を投じた▼翻って宮古の市町村合併はどうだろう。6市町村による宮古地区市町村合併協議会は、多良間村が住民投票結果を受け合併不参加を決め、状況が一変した。5市町村による法定協設置が喫緊の大きな焦点だが、行く末はおぼろげにも見えてこない▼6市町村法定協で決まった44の協定項目について各市長村議会が意見を出し合い、首長がこれを集約して新たに発足された5市町村法定協に提案する方針が、先月の首長会議で決められた。これは5市町村法定協で改めて議論すべき重要事項を首長と議員のみで決めることを意味する。住民不在であり、直接の声は届かない▼野球というスポーツ文化を楽しむのはファン。市町村で生活を築くのはほかでもない住民。どちらの合併話も、サービスを受ける主体が忘れられていたのでは議論の意味はまったくない。

(2004/07/18掲載)

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