行雲流水

 サンゴはえらい。光合成で二酸化炭素を酸素に変え放出し、地球温暖化防止に一役買っている。また、小さな魚に外敵から身を守るための住みかを提供し、それを追って魚が集まるなど、海中の生物の楽園を作り出している▼それだけではない。サンゴ礁は私たちが住むこの宮古島をも形成している。海だけでなく、陸、空の地球規模に至るまで、私たちは気が付かない所でサンゴのお世話になっているのだ▼しかし、そのサンゴが今、ピンチに直面している。オニヒトデの大量発生や海水温上昇による白化などの自然災害に加え、公共工事や人的な破壊などから大きなダメージを受けている▼オニヒトデは昨年、宮古島近海でも大量発生が確認された。ダイビング業者などがボランティアで駆除作業に当たっているが、サンゴの被害は日に日に増しておりいたちごっこが続いている。また、海の中をのぞくと、踏まれて壊れたサンゴや折れたサンゴが目に付く。八重干瀬ツアーでもフェリーのタラップによるサンゴ破壊が避けられないのが現実だ▼昨年襲来した台風14号ではサンゴ礁も大きな被害を受けたが今ではその多くが回復し、生命力の強さを見せつけた。サンゴも必死に生きている▼これからの季節、海に出かける機会が増え、海水浴場はにぎわいを見せる。シュノーケリングやダイビングで海を満喫するのもいいが、サンゴを傷つけないよう正しい知識とマナーを身につけることは保全につながる小さな一歩。海の中をのぞいてサンゴの美しさに感動するとともに、その秘めたパワーを感じてほしい。

(2004/07/11掲載)

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