行雲流水

 「誰が当選しても同じこと。結局、何も変わらない。だから投票には行かない」。選挙のたびに聞かれる一部有権者の言葉だ。極め付けは「頼まれたから何となく投票した」「知り合いの関係者だから投票するよ」などなど。有権者の政治への無気力さは深刻だ▼民主主義国家の根底をなす選挙制度。国民が投票し、それによって選んだ政治家の手腕にその国や地方の未来を託す。イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルは「民主主義は最悪の制度だ。ただし、ほかの選挙体制を除いては」と断じた▼第20回参院選が公示されている。ただ、こと国政選挙に対する有権者の反応は鈍く、その傾向は地方に行けば行くほど顕著に現れている。「参院選だから仕方がない」。そんな声がまた、各地で聞こえ始めている▼沖縄選挙区には新人2氏が立候補しているが、宮古の関心度はどうだろう。6月に施行された県議選とは比較できないほど「低い」ということは誰の目にも明らかだ▼この現状についてやはり一部有権者はこう言う。「参院議員は直接かかわりがない」「今の国政は一院制のようなもので、投票しても意味がない」そうだ。その国政を守り、あるいは変えていくことが国民の務めなのに▼7月11日は参院選の投票日である。今選挙の争点は明確で、年金制度問題や自衛隊のイラク派遣問題、さらには自衛隊の多国籍軍参加に関する是非など有権者の判断材料は多い。再びチャーチルの言葉を引用したい。「政治は、政治家と国民が正しく、厳粛に向き合ってこそ内容を高める」。1票の重みを感じてほしい。

(2004/07/04掲載)

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