行雲流水

 今日、6月23日は「慰霊の日」。「人類普遍の恒久平和を希求し戦没者の霊を慰める日」である。沖縄での日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日で、糸満市摩文仁の沖縄全戦没者追悼式典のほか、各地で慰霊祭が行われる▼沖縄戦では、20余万の尊い命が失われた。住民も戦闘に巻き込まれた者、飢餓による者、あるいは集団自決に追い込まれた者、方言を使ったためスパイ容疑で殺されたもの等、それぞれが極限の苦しみの中で死に絶えた。「みんなみの岩のはてまで追われ来て 人しれず死ぬ地獄のさびしさ」と、「ひめゆり」の引率教師仲宗根政善氏は詠んでいる▼「本土作戦を1日でも有利にするために、首里の本部を放棄して南部に下がる」。牛島中將の言である。本土決戦への時間かせぎとしての「捨て石」作戦が沖縄戦をさらに悲惨なものにした。そこでは、住民は犠牲にはされても、守られることはなかった▼多くの学校では、「慰霊の日」に向けて講演会や展示会が催されている。県立図書館宮古分館でも関係資料の展示がなされている。福山北方のピンフ嶺に旧日本軍の陣地跡がある。朝鮮等から強制連行された人たちがトンネル掘りをさせられた所である。また、野原の慰安所跡の写真も展示されている▼沖縄戦の体験を風化させてはならないし、同時に、15年戦争が他民族に与えた悲しみに思いをはせることも大事である▼その原点を見失うとき、「沖縄は次第に腐敗し、自主性を失い、破滅の道をたどる」という、先の仲宗根氏の言葉をかみしめたい。

(2004/06/23掲載)

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