行雲流水

 知識の蓄積を重視する知識派グループは「知識は恆フ験揩ニいう言葉の意味も内容もきちんと教えてくれるではないか」と強調した。対するに体験派グループは「体験で実証して初めて知識は確かなものになるんだ」と反論▼これは30数年も前某高校の 2年生が私的に二分して互いの主張を沸騰させていた時の発言の一端である。往時の高校生の多くは己や己に関わる事象に真正面から対応し好んで議論を戦わそうとする気迫にあふれていた▼しかし昨今の学校現場から伝わってくる高校生の実態は各校とも明るいものではない。学校関係者は社会は内外の大会で素晴らしい成績をおさめたごく一部の生徒の姿を新聞やテレビで見て全体がそうであるかのように錯覚していると直言する▼授業時に鳴り響く携帯電話。授業中の無断抜け出し。暴言により授業妨害。家庭学習週平均 1時間のみ。家庭における親の当然の責務であるべき日常作法や躾指導まで背負わされ先生方は正常な教科指導が手薄になったと嘆く▼その上毎時間の授業計画書(指導案)の提出など心身共にゆとりなく先生方は苦悩している。教育評論家尾木直樹氏は「大量の事務作業が教師のストレスを増やし子供と向き合うという本業ができなくなっている」と指摘▼ストレス最大原因の48%は「会議や報告書作成などの事務作業」と専門カウンセラーも同調する。現に全国の小中学校教師の42%は精神的疲労やストレスで学校現場からの離脱を考えたことがあると訴えている。

(2004/06/18掲載)

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