行雲流水

 先日、平良市教育委員会主催の教育講演会が開催された。講師は前県立総合教育センター所長高嶺朝勇氏で、「私の家庭教育論」を議題に、示唆に富む講話がなされた▼教育は今、大変厳しい時代にある。教育現場からは、「忙しい」という声がしきりに聞こえてくる。教師と生徒の心の触れ合いこそが大切であるから、気になるところである。また、社会の情報化に伴い、価値観が多様化しているし、バーチャル(仮想)の世界に遊ぶ子供たちと親たちの間には意識や生活感覚のうえで大きな隔たりができている▼こうした中で、どう家庭教育を進めるか、講師の講話の核心は変わることのない普遍的な教育的価値の追求であり、それが自らの体験を踏まえて論じられる故に説得力があった▼「子供は1人ずつ車で連れ出し、何時間でも話しあった」→話せば分かる子に育てられる。子供に押し切られる親であってはならない。「家庭学習をチェック、地域の子供たちの学習をフォロー」→子供は勉強ができるようになることを願っている。将来、自ら学習ができる基礎を身につけさせたい▼「キャンプ等を組織」→指示待ちでなく、自律的に生活できる子にするために。「心因性不登校生徒の更生を担当」→どの子も伸びる。能力を発揮できる場所がある。信ずること、安心感をもって育てることが大切。「社会教育の場から」→親同士が親しくなることが基本。教師も地域に出でよ▼「もっと早くこの話を聞きたかった」という声。感銘を与えたのは講師の「人」そのものであった。

(2004/06/16掲載)

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