行雲流水

  二季会(会長・下地明増)による第30回記念「二季展」が平良市中央公民館で、去る日曜日までの4日間開催された。記念展示会ということもあって会員の大作・力作63点が展示され、四百数十名のファンが鑑賞に訪れた▼二季会は1956年に結成、12回の展示会を開いているが、17年の中断があって、1980年に再建されている。以後、展示会を重ね、今回で30回を数える。会では、月1回の定例会を持ち、制作に対する視点や表現の方法等を研究し合っている。切磋琢磨と継続することの大切さを砂川幸夫事務局長は熱く語っていた▼古代人の描いた絵が洞窟にある。テレビの番組「僕の絵、わたしの絵」に出てくる省略と強調のきいた子供たちの絵が微笑ましい。宮古高校では一時期、多くの職員が絵を描き、展示会を開いていた。絵心は誰にもあり、表現の欲求はヒトにとって根源的なものであるに違いない▼下地明増氏に「さとうきびの束」の連作がある。一つ一つ、描くことは「実験」であると氏は語る。実験だから失敗もあるし、発見の喜びもある。あくなき探求心に感銘を受ける▼「同時多発愛・共存へ」という作品がある。祈りが、心臓の鼓動のように全世界で共鳴することのイメージか。作者の西里恵子さんは「9・11事件」を逆手に取った発想だと語る。ベテランに若い息吹が加わって、会はいよいよ充実・発展していく▼異なる感性や世界観によって創造される多様な世界は、見る人に、ものの見方や感じ方を広げ深化させる。楽しいことだ。

(2004/06/02掲載)

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