行雲流水

 テレビ画面に映る事件現場。捜索や検証のため登場してくる捜査員のジャンバーの背中には所轄署の名前が大きく表示されている。しかし本紙別掲コラムでも何度か指摘されているように表示はいずれも英語である。日本の警察なのにである▼表示する目的は他に示して知らしめ認めさせることにある。知らしめ認めさせる対象は当然のことながら我々日本国民である。ところが「警視庁」を除けばどの県警もなぜか日本語ではなく「××POLICE」と英語で表示している▼テレビでも不必要なと思えるほど英語文字の表示が目だつ。後に続く番組を紹介する字幕の場合「次は…」ではなく「Next…」だったりする。ある日の巨人対ヤクルト戦放映のようにホームランではなく「HOME RUN」と表示されるのも例外ではなくなった▼外来語やカタカナ文字の 『氾濫』については既に多くの意見が出ているし国立国語研究所は日本語の豊かさを伝えたいとの意向から善処策も打ち出した。甲斐睦朗(かいむつろう)所長は「耳慣れない外来語を得意そうにひけらかす米国帰りの知識人…格好いいだけで使われる外来語はなくしていきたいですね」と明言する▼しかし日常的に通用する言葉(日本語)まで殊更に英語で表記して奇をてらう風潮は容易に衰えそうにない▼隣国韓国では民俗文字を文字文化の中心に据えわが国では漢字と仮名交じり文で文章を作り漢字文化を維持してきた。最近東アジア諸国では漢字文化再興の動きが高まりつつあるという。

(2004/05/07掲載)

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