行雲流水

 季節は「うりずん」から「若夏」に移っていく。「うりずん」の「うり」は潤うの意で、宮古でいう「うりー」、「ずん」は「じみ」で浸みとおる意である。うりずんで萌え出た若葉が緑を濃くしていくと「若夏」である▼緑が人に与える落ち着きや安らぎは科学的にも証明されているが、森の中で過ごした太古の記憶が、遺伝子の中に刻まれているからに違いない▼この季節はまた、花の季節でもある。「百花繚乱」、家々の庭先には色とりどりの花が咲き乱れている。さらに、近年、道路脇の潰れ地等のあちこちで花木が植えられ、通行人の目を楽しませている。空港通りと下地線の交差点近くの「下地町ヨンシー愛好会」による花園がある。会員は元婦人会役員の皆さんで、もともとは踊りの好きな仲間、ギンネムを切り拓いて花園を造成した。サルビアが美しく咲いている▼みやこ福祉会の知的障害者授産施設「みやこ学園」には40人の通園者がいる。室内で飾り物を作ったり、菓子折りの箱を組み立てたりするグループ、公園で草取りの作業をするグループ、それに園芸グループがあって、それぞれに活動している。「彼らは、ここに来ると、親しい仲間に会えるし、共に活動する喜びがある」と、職員の宮平さんは語る。野原越の中休商店前の花園にはマリーゴールドが見事に咲いている。園芸グループの皆さんが育てたものである▼ブーゲンビリアが鮮やかだ。赤紫のバーベナもあっという間に全島に広がった▼美しきもの、良きことが広がっていく。喜ばしい事だ。

(2004/04/21掲載)

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