行雲流水

 最近の資料(月間高校教育)によると、〔どのような生き方が望ましいか〕の問いに、「その日その日を自由に楽しく」が、中学生で45%、高校生で36%、「身近なひとたちとなごやかな毎日」が中学31%、高校44%で上位を占める▼何とも平凡すぎて気が抜ける。夢がなさすぎるし、大志を抱いて将来に立ち向かう気概が感じられないのが残念だ。世の中の乱れで少年らの奮起力まで萎えてしまったか▼世の中をよくするのは若者の力に待つというのが歴史の定説である。「皆と力を合わせて世の中をよくする」と答えたのは10%にも満たず、これは極めて憂慮すべきことのように思う▼大学の進学などでも、かなり力のある生徒が試練に立ち向かうことを避け、安易に推薦などの道を選ぶことを地元の教師らも嘆く。「棒ほど願って針ほどかなう」と教えられた世代にとっては歯がゆい▼〔一生懸命勉強したら、将来よい暮らしができる〕かの問いに、「そう思う」が1位で、中1の64%から、学年が進むにしたがって下がり、高3で46%となる。勉強することが大切だと認識しているが、「しっかり計画を立てて豊かな生活を築く」が、中・高15%程度でアンバランスな面があり、現実的であるが将来ビジョンの構築ということで疑問を抱く▼クラーク博士が「少年よ大志を抱け」と言い残して札幌農学校を去ったのが1877年のきょうだが、この言葉はいまの子らには「ださい」と一蹴されようか。

(2004/04/16掲載)

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