行雲流水

 春、4月である。春の語源は、「張(は)る」「発(は)る」「晴(は)る」「墾(は)る」などと言われ、いきとし生けるものに生気がみなぎるさまを表している▼この季節、人はそれぞれに、希望や決意を新たにするが、とりわけ、今日、小学校に入学する子供たちは期待に胸ふくらませていることだろう。ついこの間まで、幼稚園からは、楽しい幼稚園生活の思い出や、1年生になる喜び、憧れを込めて『思い出のアルバム』の歌声が流れていた。そして、今日は嬉しい入学の日である▼入学する子供たちにとって、何よりも、学校が楽しい場所であること、心身の健やかな発達を保障する場所であることが、みんなの願いである▼学校では、児童生徒の発達段階に応じて、人類が築きあげてきた文化に即して学習が本格化する。例えば、算数に出てくる10進法の位取り記数法は0から9までの数に0が加わって初めて可能になるが、この「0」の発見に人類は数千年を要している。とても子供たちに自然に身につくものではなく、系統的な学習が不可欠となる▼そのために最も大切なことは、子供たちが学習に集中できることである。そのためにも、子供の発達についての研究や各地の取り組みに学ぶことが大切である。例えば、メディアづけの子供は言葉の発達がおくれる。人とのかかわりを多くしたい。夜更かしの子は、学校では時差ぼけのようになる。早寝早起きを。アレルギー体質の子が増えている。体力が落ちている。正常な食事と遊びの復権を▼子供たちに、健やかに成長する喜びを。

(2004/04/07掲載)

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