行雲流水

 「食」をめぐる問題が噴出している。鳥インフルエンザや牛海綿状脳症(BSE)は深刻だが、それだけではない。経済効率優先で多量の農薬を使って生産された農産物が流通している。また、家畜に与えられる成長促進剤や抗生物質が耐性菌を生み、人への悪影響が広がっている。若い世代の食生活の乱れ、味覚の発達不全も心配されるところである▼このような状況のなかで、われわれの健康や生活、文化に直結する食についてもっと学ぶべきだとする「食育」の運動が盛になっている。地域でとれた食材を地域で消費する「地産地消」の運動もその1つである▼当地でも農産物や海産物の産直売店が生産者にも食の安全、安心を求める消費者にも喜ばれている。このことは、地域の食文化の掘りおこしや加工食品開発を促すことにもなっている。昨年は「ミャークの味加工推進協議会」が第52回全国農業コンクールで農林水産大臣賞を受賞した▼2003年度は国民運動としての「食育」推進元年ともいえる年である。第1回食育総合展が開かれ「地域に根ざした食育コンクール」が行われた▼最優秀賞は香川県の滝宮小学校で、同校の高学年では子どもたちが自分でつくった弁当を持ち寄る「弁当の日」がある。優秀賞を受賞した広島県の久芳小学校では、実際に農作物を栽培することで、子供たちは、食べものをつくることの大変さ、大切さと同時に、自然の力の偉大さすばらしさ、生命の尊さを学んでいる▼色々あるが、求めることは「食文化の健全さ」である。

(2004/03/17掲載)

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