行雲流水

 大病院2カ所で検査と治療を受けた。いずれの担当医も従来の医師の対応と異なっていた。これまでの経験だと治療中の医師の多くは寡黙(かもく)につつまれているように見えた。しかし今回は明らかにそうではなかった▼A院の担当医は画像診断装置のMRI(核磁気共鳴映像法)検査結果の画像30余のコマを示しながらそれぞれについて分かりやすい言葉で説明。各画像の特性と原因についての質問にも丁寧な言葉で応じていた▼B院の医師は縫合針を刺すたびに「少し痛みますよ〜」と告げ後4本ですよ3本ですよと穏やかな口調でカウントダウン。奇妙なことに医師の言葉は手術台に横たわっていることを忘れさせる暗示力を秘めていた▼この頃患者と医師との関係を問う「インフォームド・コンセント」が注目を集めている。医師の十分な説明と患者の同意に基づく診療行為「納得診療」を表す同語が強調されてきた背景には誤診や医療事故多発による医療現場への不信感がある▼事態を深刻に受けとめた医学教育界では「患者の個別的な希望に応え患者との密接な関係を築くことの重要性」を教育課程に取り入れて国民に信頼される医師の養成に乗り出したという▼もとより医療は医師のみで成り立っているのではない。受診者は看護師・薬剤師・医療技師・会計窓口など様々な職種に接している。宮古病院では受診者に対する職員の対応評価点を外来者から集めている。医療信頼の回復と職員の態度とは無縁ではないとの認識は称えたい。

(2004/02/27掲載)

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