行雲流水

 月に1回喘息(ぜんそく)外来に行く、同病相哀れむ仲間の何と多いことか。以前はサルタノールなどの吸入薬も薬店等で入手できたが、いまは医師の処方箋がなくては購入できない。一病息災という言葉があるが、月に1回程度主治医の検診を受けるのは、健康チェックの意味でもよいように思う▼実は、きょうは「アレルギーの日」である。石坂公成博士が1966年のこの日に、アレルギー性疾患の診断に貢献したIgE抗体(免疫グロブリンの1つ)を発見したのを記念して日本アレルギー協会が制定した▼気管支喘息、花粉症、アトピーなど、一般にアレルギーというのは体に侵入してきた抗原を排除しようと抗体が働き、その際に、生体に不都合な反応が起こる。これがアレルギー反応である▼ところで、米国、マックインティア博士らによると、かつてはA型肝炎ウイルスの感染がアトピーを押えていたが、現在ではそうでなくなったためアトピー患者が増えたのではないかとの指摘がある▼近年多く見られる杉花粉症は日本独特で、杉の見られない都会地でも多発し、全国的・短期間の拡大の理由がよく分からないという。アレルギー性疾患は、人や環境とともに進化するもののようだ▼NHKの番組「クローズアップ現代」で、杉花粉の遺伝子を米に組み込み、その米を食べることでワクチン同様の効果で花粉症を予防しようという「食べるワクチン」の話があった。画期的なことだと思うが、遺伝子組み換え食品というのが気になる。

(2004/02/20掲載)

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