行雲流水

 いわゆる三位一体改革は、本来地方分権を推進し地方の主体性を確立するため、国から地方への国庫補助金や地方交付税を削減、その代り税源移譲を一体的に行うというものである▼ところが、政府の進めているこの改革は、全国知事会の梶原拓会長の言葉を借りれば『三位バラバラの改悪』である。国からの補助金や地方交付税の大幅削減が先行、それに見合う税源の移譲が不十分であるため、各自治体の財政が深刻な打撃を受け、不満がうず巻いている▼一方で、全国知事会等の対応に反発して、東京都が大都市圏の連携する新しい全国組織づくりを探っている。同じ税源移譲とは言っても、人口と企業が多く税源が集中する大都市と地方とでは事情が異なる。この改革がこのまま進めば、都会・地方間で貧富の格差が拡大することは必然である▼こうした中で、平良市は2004年度予算案の一次内示で歳入欠陥内示を行い、全国的な波紋を呼んだ。最終内示では帳尻を合わせるかたちにはなったが、危機的な状況に変わりはない▼そもそも、政府のつとめは「富の分配」を適切に行うことである。そのことによって、全国民に一定水準の生活を保障することである。すべての地域を人が住むのにふさわしい場所にすることである▼平良市には財政危機と共に、執行体制にも問題がある。与野党を問わず、議員はもっと大局的な立場で市の発展に寄与すべきである。特に求められている納税率の向上には市民の協力が不可欠である。「逃げ得」は社会を疲弊させる。

(2004/02/18掲載)

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