行雲流水

 去る6日平良市で『2004年全国地下水サミット』が催された。全国と銘打ってはいたが参加したのは千葉県2市・熊本県1市・鹿児島県1町・沖縄県2市1村などわずか7つの自治体の首長もしくは代理の担当部長のみだった▼「命の水―その確かな未来」をテーマに会場には主催の平良市職員はもとより各首長の随行員や宮古島上水道企業団職員そしてゆかりの市民らが集い一応満杯の盛況であった▼基調講演の鈴木喜計氏(千葉県君津市環境保全課主幹・東大先端研客員研究員)は古代の集落形成と湧水との関係や今日の都市発展の礎も地下水と深いかかわりを持っていることなどを簡潔な語り口と多くの映像を駆使して分かりやすく提示▼ミネラルウオーターの普及は本来の地下水がいかに美味で安全であるかの証である。しかし都市への人口集中や産業集積による過剰な揚水で地下水の枯渇や地盤沈下が各地で起きている。水質も悪化してきたと鋭く警告▼会議のパネラーは居住する市町村における地下水利用の現状や直面する課題を発表しあい問題点を集約して論議を深めていくはずであった。会場はその中味の濃い実りある展開を期待し耳を傾けていた▼ところがテーマを乗り越え延々と観光宣伝に終始する首長ありで宮古島が最も傾聴したかった鹿児島県喜界町の報告は中断を余儀なくされた。報告とは宮古在住の東京農大中西助教授の栽培指導で喜界町のサトウキビ生産は質量共に飛躍的な成果をあげているという実績の紹介である。

(2004/02/13掲載)

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