行雲流水

 サトウキビ収穫の最盛期である。この時期には病院に行く人が激減するという。「病気になるひまはない」と農家の人たちは言う。小雨降る寒気の中で収穫に励む方々に話を聞いた▼台風の影響については、灌漑(かんがい)施設の有無、地域や畑周辺の地形による風当たりの強弱で大きな違いがみられる。軽微な被害から3〜4割の減産だというところまである。台風で折れた茎からは脇芽が出ており、そのために栄養分が消耗され、重量が減少、ブリックスも低下している。また、そのために収穫作業に手間取っている▼1反(たん)からの収量はおよそトラック1台分(6〜7トン)で、収穫に7〜8人の人出がいる。最近は結い(ゆい)というより家族で収穫することが多いので、2〜3名の家族では1台分を収穫するのに3日もかかる。値段は1トン当たり約2万円で、耕作農家の粗収入は100万円弱から多い方で200万円程度である。それから肥料代や農薬代、諸雑費を引くと、経営はかなり厳しい▼それでも、関係者の研究によって自然災害に強い品種の改良や導入がなされており、農家の努力によって、当地区は県内でも有数な生産地となっている。多くの地域住民の生活を支える重要な産業であることに変わりはない▼ところで、現在、輸入原料を使う精製糖業界に国産との差額を調整金で埋めさせ、実質的に国内生産者を保護しているが、国はこの制度を見直し、輸入原料にかける関税で調整する方法に改めることを決めた(1/9、朝日新聞)▼県や関係団体の早急な対応が求められる。

(2004/02/11掲載)

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