行雲流水

 何ゆえに市町村合併か。なぜ国は合併を声高に押し進めるのか。その根源的事由について明確な情報の提供は必ずしも万全とは言えない。情報の大半は合併しなかった場合を想定して試算した負の数値のみを強調し当該市町村の財政は破綻するの一点に終止している▼先日合併に伴う新議会議員数の試案が提示されたが現状に比べると激減。試案が適正数値だとすれば現在の定数は『水増し』ということになる。市町村それぞれの職員数も大幅削減が取り沙汰されている▼削減しても現行並みの住民サービスが可能だとすれば納税者は現在不要な職員を背負っているということか。自己財源の乏しい市町村にとって膨大な人件費は財政圧迫の主要因となるが大量リストラは人権問題となりままならない▼それでも財政破綻からの起死回生策として職務の量に対する職員数の適正化は避けられるものではない。適正化の『行革』も果たしえず財政逼迫を盾に取っての「ゆえに合併ありき」の対応は空しい▼合併は即広域行政への移行となる。器が質量ともに様変わりするのである。したがって当然のことながら行政理念も対応策も旧態依然のままでは活力ある新市は期待できそうにない▼後手ながら各首長にとって現今の緊急課題は合併は痛みは伴うがそれに勝る活力源が新市には内在することの証を自らの言葉できちんと示すことである。負の試算数値の強調もいい。が、最も肝要かつ優先すべきは住民の新市に対する不安の解消努力のはず。

(2004/01/30掲載)

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