行雲流水

 この冬は、昨冬ほど人のインフルエンザの流行を聞かない。昨年、中国などでのSARS(重症急性呼吸器症候群)騒動が影響し、インフルエンザ予防ワクチンの接種率を高めるのが、功を奏したのだろうか▼ウイルスは単独では増殖できず、生きた細胞が必要である。細胞が2分裂で増えるのと違い、1個の細胞の中で数個から数100個にも及ぶ子孫ウイルスをつくるというから、始末に負えない。ところで鳥インフルエンザが山口県で発生、数万羽におよぶ鶏が処分された▼ベトナムでは鳥インフルエンザによる死者が出ており、人から人への感染はないというが危機感が募る。ウイルスが突然変異で人間に感染すると、人は抗体を持たないので、新種のインフルエンザが大流行することになる▼過去に大流行したスペインかぜやAソ連型、A香港型など、SARSもその例で、新種は、ワクチンの開発も間に合わず、細菌と違い抗生物質による治療も効力がない▼鳥インフルエンザウイルスが突然変異で、人から人への感染力を獲得するとSARS以上に猛威を振るう恐れがあるという。ハクビシンなどとSARS、養殖鯉のコイヘルペスウイルス病、牛や羊のBSE(狂牛病、病原はプリオン)、今回の鶏騒ぎなどは、動物と人の関わり合いへの警鐘か▼グローバル化はウイルスなどのグローバル化をも招き、エイズやエボラ出血熱、新型のインフルエンザの発生と、人の進化や医療の進歩に負けじとウイルスなども進化するもののようだ。

(2004/01/23掲載)

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