行雲流水

 マレーシアのマハティール前首相は国づくりの手本は第二次大戦の廃墟から世界に冠たる経済大国へと成長を遂げた日本でその成長発展を支えてきた日本国民の恚ホ勉さ揩セと強調。「日本に学べ!日本を見習え!」を国民の意識高揚の旗印とした▼年間数百名もの留学生を日本に送り先進的技術を学ばせると共に国づくりの礎となるものの考え方についても見聞を深めさせてきた。しかし前首相の日本に対する認識は現在大きく変化している▼いわく「今の日本の若者には『一生懸命さ』揩ェない。このままだと日本から学ぶものは何もない」と。日本留学経験のある一青年も「韓国・中国・マレーシアの私たちの国づくりに対する思いは強い。なぜ日本の若者にはその気力が乏しいのか」と直言していた▼内閣府の世界青年意識調査も『日本国民は勤勉』揩ニいうこれまでの定評は国内外の若者の間では急速に薄らいできたと報告している。建築家安藤忠雄氏は「社会に緊張感が希薄で一人一人が職業人としての責任感を欠落させているのではないか」と言い▼「最近の若い社会人にある種の頼りなさ不安感を感じるのは私だけではないだろう。半端な社会人が多すぎる」「国力の低下は人間を責任ある個人として育てられない社会構造に源があることは間違いない」と指摘する▼そしてさらに「知識の不足よりもそれを生かす人生の目的も見つけられない活力のなさの方が問題だ」「次代を託すべき世代に元気がない社会に未来はない」と警告している。

(2004/01/16掲載)

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