行雲流水

 ミャオ(苗)族は中国南部と大陸部東南アジアの山地に住む民族である。この民族の集落を訪ねて、その民俗文化を見聞してきた人の話を聞いた。この村では、若者は結婚したい相手に赤いコメを贈る。娘は承諾の返事に箸を贈り、「ゴメンナサイ」のときは辛い物を贈るという。家庭を持つ上で何よりも大切なことは共に食っていけることだから、こういう慣習が生まれたのだろう▼ところで、今年は国連が定めた「国際コメ年」である。コメの重要性の認識と、国際協調を図るためのものである。コメは世界の重要な主食であり、その需給の安定は世界の食料問題にとって重要な意味を持つ▼しかし、途上国の経済危機は深刻で、多くの地域で人々は食糧不足に苦しんでいる。国連は、その原因に長期にわたる干ばつと、国際的経済環境が与える打撃を挙げている▼一方で、日本は減反でコメの生産調整を行なっている。そのうえ、自給率は世界で最低であるのに、コメの市場開放の攻勢は続く。それは砂糖にも及んでいる。先週、農林省は砂糖と澱粉について、これまでの生産者保護の仕組みを見直し、輸入原料にかける関税で調整する方法に改める方針を決めた。県の対応は急務である▼「国際コメ年」である。稲作は安定した食糧生産というだけでなく、わが国の伝統、文化、自然保護のうえでも大きな意味を持っている。また、コメによる国際貢献も考える機会にしたいものである▼古来、日本は瑞穂の国と言われてきた。稲のみのりはこの国の豊かさと美しさの原点である。

(2004/01/14掲載)

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