行雲流水

 2004年の太陽が昇った。オモロの称える鮮烈な太陽の光を希望のしるしとしたい。オモロはうたう「天に鳴響(とよ)む大主/明けもどろの花の/咲い渡り/あれよ 見れよ/清らやよ/地天鳴響 (ぢてんとよ)む大主」▼鷲ユンタはうたう。鷲がアコウの木に巣をかけ、卵を産み、雛がかえり、綾羽が生え。新年の朝ばなに、東の空、太陽に向かって舞っていけ。正月のアヤグは、新しい年を迎えると、脱皮するほどの思いだし、根岩のように、島のある限り、親よ長生きしてほしいと、願う。昔は、親子で、このようなアヤグをうたい、盃を交わしたという▼自然の美しさを称え、子供の健やかな成長を願い、親の長寿を寿ぐ心情は昔も今も変わることはあるまい。ただ、今日では、人や家庭は複雑な社会と深く関わっていて、それだけに困難なことも多い。薄らいでいく共同体的結びつきに代わる意図的な社会づくりが求められる▼本紙新年号は私たちの社会の現状や課題について特集を組み、各観点からのアプローチを行っている。ちなみに、特集は第一集が「結ぶ」で、「激動」、「個性」、「自立へ」、「夢」、「生き生きライフ」、「きずな」、「団らん」と続く。キーワードは自立である。それは経済的自立だけでなく、精神的・文化的独自性、創造性の主張をも意味する▼世界化への対応も迫られる。そこでは、単なる適応ではなく、力の論理と暴力、極端な経済的格差をもたらす「世界化」への否認も求められる▼不透明で、激動の1年が始まった。そして、日々、「日はまた昇る」。

(2004/01/07掲載)

top.gif (811 バイト)