行雲流水

  今年の流行語大賞が決った。「毒まんじゅう」「なんでだろう」「マニフェスト」の三つが大賞に選ばれた。多くの政治家が利権構造の中で甘いまんじゅうを食べていることを国民はよく知っている。外国語マニフェストは内容よりもその表紙がもてはやされる世相をよく反映している。「なんでだろう」が選ばれたのはなんでだろう。要するに、重要語ではないと言うことか▼言葉と言えば、「国際化」、「情報化」が言われるようになって久しい。今年はその内容がいよいよ先鋭化した年ではないか▼共存共栄の理想はかげをひそめ、グローバル化という名の弱肉強食の世界が展開されている。正気を逸した好戦的な雰囲気が広がり、不幸な顔つきの「正義」たちの暴走が矛盾を一層深刻なものにしている▼情報化も目覚ましい。しかし、それが操作されると怖い。例えば、戦争で殺される子供たちの悲しみや苦しみに対する想像力が弱められていく。ちなみに、ヨーロッパでは、受ける情報が正しいかそうでないかを主体的に見抜く能力を養う教育が広く行われている。メディア・リテラシーである▼ところで、先日の会談で稲嶺知事は米国防長官に強い口調で言った「県民の基地感情はマグマのようだ。ひとたび穴があくと噴出する」。将来の基地問題への思い切った改革を望む、とたたみかけると、長官の笑顔が消えた。当圏域における産直売店や朝市の開催も主体的な自主自立への歩みの一つである▼状況は厳しい。主体性を失うとき、諸問題解決は「百年河清をまつ」ことになる。

(2003/12/10掲載)

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